金原・三床山縦走
  
 栃木県佐野市郊外を流れる旗川は、国道50号線バイバスの渡良瀬大橋付近で渡良瀬川に注ぎ込む。その合流地から20kmほど上流で旗川は彦間川とY字形に分かれ、西の彦間川は更に4kmほど上流で北から来る閑馬川と分かれている。
 この旗川と閑馬川とで東西に挟まれ、北方で山地を横切っている林道「閑馬・長谷場線」の南から平野部までの里山一帯を、私達の山仲間では「三床山塊」と通称している。
 この山塊には、北に金原山(427m)と南に三床山(335m)の三角点を持つふたつの山がある。この二つの山を直線距離で結べば4.5km位だが、この間を縦走するにはその3〜4倍の距離をみる必要がある。また、里山とはいえ植物の葉に例えて言えば、羽状複葉・分裂葉を複雑に組み合わせたような、支尾根と沢筋とが複雑に入り組む地形をしている。もちろん登山道などという洒落たものはなく、仕事道やあるいはかつての信仰の登拝や峠道の名残が交雑し、数多の藪山を結ぶマニアックな山塊である。
 その山塊中には獣道が縦横に走ってみられるように、熊・猪ほか野ウサギやその他の小動物が生息している。特に猪の生息数は多いようだ。(熊と猪については、私達もこの山塊で遭遇体験している)。東の長谷場地区でうかがった地元の方の話であるが、野猿も家の門口まで出没しているという。また、鹿の生息も糞や食害をみてあきらかである。最近、三床山関連の情報も雑誌やインターネットで紹介されるようになり、ハイカーの姿も三床山辺りで見かけるようになったが、クマ避けの鈴等は必携であろう。
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金原峠

 今回の参加者は、TFHCの5人のメンバーにS氏が加わり総勢6名。三床山の鹿島神社に回収用の車を置き、マラソンさんのビッグベア2世号で林道「閑馬・長谷場線」の金原峠に9:30に着いた。ロープの張ってある左が登山口だ。このロープ、不法投棄禁止のためだが、どれほどの役に立つだろう?
いずこの林道でも、ゴミ捨て行為は目に余るものがある。尾瀬の山小屋でさえゴミに無関心だったくらいだから、日本人の良識の欠如は根深いものがあるのかも知れないね。

金原山の山名プレート

 金原山は細長いピークで、山名標識がなければ、すっと通り過ぎてしまうかも。峠からは展望の良い台地状のピークを越え15分もあれば到着だ。この間の山道には春になると、可愛いフデリンドウを見ることができる。今は落ち葉を踏んでの山歩きだが、それはそれで嬉しいものだ。

 次の大きなピークには石祠がある。平成12年建立の新しいものだ。こ
れが眺む方向に集落があるが、そちらは垂直に切り立つ大きな断崖絶壁になっている。おそらく展望ピークとの間に登山道があるはずだが、私達はいつも金原峠に車で来てしまうので、それをまだ確かめてはいない。
 ここからは一旦急激に下る。登り返してピークを下りたところが六地蔵
のある峠(今は東西に微かに道跡が残る)である。祠のピークからは15分くらいの行程だ。

六地蔵峠の六地蔵

 以前は東の斜面はうっそうたる杉の植林帯だった。それが麓の方まで伐採されて、うって変わって明るい雰囲気になった。この六地蔵の1つに「長谷場村」と彫られているが、建立年代は磨耗していて判読できない。他の遺跡などから考えて、江戸末期に建てられたものだろうと思う。当時の様子はどうだったのだろうか? 私としては、現在のように安蘇の山並みが見渡せる景観が好きである。前は薄暗くてここに長居したいとは思わなかった。今は時間さえ許せば、いつまでもいていいとさえ思う素晴らしい眺めだ。
 今日の天気は薄曇。ここに載せたい眺望の良い写真が撮れなかったのが残念。

蛙岩

 六地蔵から1つピークを越えると、この縦走路中で最も岩場らしい「蛙岩」がある。頂上は2,3畳ほどのテラスになっていて、登山道はここを通っている。北から来るとなんとなく上がってしまうが展望はすこぶる良い。東側は切れ落ちた断崖になっている。横からみると命名の由来がわかるが、今改めて写真を見ると、私には人か猿の横顔にみえてしまう(~_~;)

林山の山名プレート

 蛙岩から上り返したピークが「林山」で、尾根がY字形に分かれる。ここはうっかりすると道跡をたどって南西に入ってしまうが、東の急な斜面を下らなければいけない。

 尾根道は緩やかに小ピークを越していくがその途中、特徴のある三床山を遠望することができる。中央の奥がソレ、分かりにくいかも。サムネイルにしたのでクリックで大きくして確認して下さいな。

 さて、縦走して北の金原山から来るときに、最も間違いやすいピークが左の写真。ここは道なりにまっすぐ行くと、直ぐに北北東の広い支尾根となり、「手のひら尾根」を越え大久保の集落方面に出てしまう。南に入って下らなければならないのだが、道跡のはっきりしたまま行くと、梅園の最奥の集落、西根の方に下ってしまう。コツはピークから5mほど下にある白テープで左に入り、急な斜面を立木にひっつかまりながら、南南東に延びる尾根にうまく入ることだ。

枯葉を踏んで尾根歩き

 ここで迷わずに尾根に乗れば、あとは三床山まで心配な箇所はないですよ。しばらくは落ち葉を踏んでのランラン気分が続きます。次の大きなピークが「天ヶ岳」。私達はここで昼食の予定。先行隊が今日のメーンイベントであるウドンの支度をしているはずで〜す♪

どうですか〜〜重い荷を背負ってきたカイがありますよね!
マラソンさんが前夜から用意した具だくさんのウドン汁に、なんとテンプラ付きですよ〜♪
誰かが、玉子は? なんて言ってますが・・・(~_~;)
桜山にある石祠

 満腹で休憩時間をだらだらと延ばして出発したのですが・・・
S氏のペースが遅くなりがちです。このままだと日が暮れてしまいます。それで2隊に分け、脚力のある先行隊はがむしゃらに歩いて、目的通り三床山を経由して車の回収。S氏とK女史と私は途中のエスケープルートを行くことにしました。

 ところが、S氏の様子が変です。まぁ、腹痛ですね。他の5人はどうってことないので、ウドンのせいではないと思いますがねぇ。それで、初体験の「雉撃ち」をしてもらいました・・・(笑)
腹痛は収まったようですが、S氏は下痢すると膝の力が抜けてしまう体質だとか・・・とうとう「桜山」の登りで手をついてしまいました。私としてはちょっとばかしあせりましたぁ。先行隊は行ってしまってましたからね。携帯は圏外だし・・・
 桜山からは西にエスケープルートがあります。しかし、ここから下るとき過去に2度ほどルートを外して失敗しています。ソレをまた辿るには手作りの地図を今回は持参していません。まぁ、里山ですから無理やり下りちゃえばいいんですけどもね。でも、間違っちゃってS氏やK女史に迷惑掛けてはと思い、確実にルートを知っている「栗谷坂峠」までS氏にガンバッテもらうことにしましたぁ^^;
 桜山から南東に尾根を行き、次の大きなピークの「つつじ山」で南に下り、更に登り返すと「烏ヶ岳」です。ここは西に尾根が延びていますが、南の急斜面を下ります。道跡はほとんどありませんが、下りきったところが栗谷坂峠です。ここまでゆっくりと1時間でした。

栗谷坂峠

 栗谷坂峠は落ち葉で埋もれていますが、ここまで来れば、もう安心。西に20分も薄い道跡をじぐざぐに辿れば林道に下りることができます。右手に砂防ダムを見て道なりに行くと、林道はT字路になり、左に折れれば梅園の集落に飛び出ます。4時少し前でした。

 ちょっとしたハプニングがあったりして、後発隊
は三床山には行き着けませんでした。でも、それはそれとして、冬枯れの里山を十分に楽しむことができました。右の写真は麓の鹿島神社の方向から見た三床山です。山頂には3つの石祠が、この山を囲む岩崎・戸奈良・梅園の集落の方向をそれぞれ向いています。かつては集落ごとに参拝したそうですが、今では代表者が年に1度持ち回りで参拝すると地元の方から伺ったことがあります。それも今後はどうなるでしょう。世代の交代が進んでいますからねぇ。でも、最近は道標が設置されたりしているので、ハイカーは増えるかも知れません。気分のいい里山の1つですから・・・

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