外山六岩峰(修験コース)

 栃木県田沼町(現在は佐野市)の金原の集落から北方を見ると、ラクダのコブのように並ぶ岩峰がある。金原林道(閑馬長谷場線)の金原峠から北は、私たちのフィールド(三床山塊)の外に位置するので、私たち山仲間ではこの
岩峰群(470m前後)を『外山六峰』と呼んでいる。もちろん、これは仲間内だけで通じる呼称であり、2万5千分の1地形図に標高等の記載もない。小さな里山の連なりであるから、それぞれの小さなピークごとには、おそらく正式な名称はないものと思われる。最近はネットでもいくつかの紹介記事を見るが、単に(金原)岩峰群としているようである。ルートは藪山ゆえ一部不明瞭なところがあるが、岩峰群を縦走することは可能である。(岩が脆いところもあり落石に注意、また猪をはじめとする野生動物も生息しています)今回は5峰(東側から数えて)に設置したロープの確認と設置替えを行うために、ほぼ1年ぶりに訪れてみました。(このロープは最低限の安全確保に設置したもので、当然のことながらハイカー自身の自己責任を担保するものではありません)


黄色の花はヤマニガナでしょうか

 私たちは第1峰への入山を金原峠(林道閑馬長谷場線の最上部)からスタートします。ここにはコンクリートで作られた防火用水が設置されています。以前にはなかったゴミ捨て防止用の柵やロープがありますが、脇から入って行きます。出発は10:30です。

 入り口からは直ぐに植林帯になりますが、そのところで、毛虫さんのお出迎えです。身をかがめてその下を通ったのですが、彼らは食欲旺盛で、帰りにはその枝の葉っぱを食い尽くして、枝先にかたまって下の写真のようになってました。

 毛虫はぞっとしませんが、これは何の幼虫なんでしょうね。まぁ、ヘビよりはましかなぁ(^_^;) 
 
 以前とある山中で、赤い線虫(?)のコロニーを見たときはおもわず鳥肌がたちましたが、ネットで調べても正体が分かりませんでした。人間は正体不明のものに恐怖心を持つ傾向があると何かで読んだことがあります。本当にそうですね。

 こんな毛虫でも蝶や蛾を追いかけている人が見たら、もしかして、大喜びしたりして・・・

 入り口から直ぐにヒノキやスギの植林帯です。道は平坦に続き、まもなく北への右折地点に来ます。以前は分かりにくかったのですが、雑木林だった一部が伐採され新しい境界杭が打ち込まれています。ここを下り、あとは尾根を道(仕事道)なりに進みます。一つピークを越えた先が2万5千分の1地形図の389m地点ですが、ほとんど特徴はありません。ここを越すと左から上がってくる廃棄された林道の終点と出合います。林道工事の際使われたのでしょうか、簡易トイレが倒れて放置されています。山中にこんな粗大ゴミがあるなんてねぇ。

放置された簡易トイレ

 林道出合いから少し先で分岐があります。第1峰へは、真っ直ぐにヒノキの植林に沿って急登して行きます。左は1峰下部の巻き道ですが、この先は獣道になります。これをたどって行くと左の植林帯の上部の仕事道と藪漕ぎを経て、第4峰と5峰の鞍部まで行くことができますが、途中には崖下を巻くところもあり、雰囲気的には面白いルートではないです。
 1峰の直下まで来ると、特に道はありません。踏み跡をたどるか、適当にがむしゃらに頂上を目指します。

 第1峰(487m)からの展望は東から北にかけて、阿蘇の山並みを見晴らすことができます。なかなか良い展望です。山頂標識はありませんが、右の写真のような、道路工事で使われたモノを設置してあるのはご愛嬌です。

第1峰からの展望

 第1峰からこれからたどる北西方向に第4峰が壁のように立ちはだかっています。この中間に2峰・3峰がありますが、眼前の4峰に目を奪われてしまいます。これを見ると、とても縦走できるような感じではないように思われるでしょうね。
 ルートは狭い山頂のアブラツツジの藪をかき分けて、4峰めがけて急降下します。

 かなり急ですが、雑木を掴んで下れるので、2峰との鞍部までそう危険なく降りて行けます。現在は大分踏み跡もできてきました。

コアジサイ(ユキノシタ科)

 この斜面に、コアジサイが咲いていました。山の日陰を好むようですが、アジサイの仲間です。これは白っぽいですが、私たちがよく行く大小山ではもっと青みを帯びた株が見られます。

第2峰から第1峰

 第2峰・3峰は小さな岩場のピークです。3峰の南斜面に大きな赤松が健在です。松枯れが多い中でなかなかの雄姿ですが、写真ではその大きさがよく分からないかもしれません。

 3峰から4峰への鞍部に下りるには、左手を伝って大岩を巻くように降ります(写真は帰路に撮ったもの)。

第2峰
第3峰

 第4峰(471m)は岩峰群の中央に位置し、ラクダのコブの一番大きい出っ張りに似ています。左の写真は4峰への登りです。かなりの急坂ですが慎重に登り、狭い岩筋のルートを降り立つと5峰との鞍部です。この鞍部を南に少し下って行くと、金原林道脇の宗教施設横にでる廃林道が上って来ています。

第5峰

 第5峰は割と細長いピークです。西のはずれが細く切れ落ちて6峰との鞍部に出ます。この鞍部への降り方が問題となる箇所です。

 岩登りに慣れている人にとってはなんでもないところでしょうが、中高年の多い我がハイキングクラブでは、ビビッてしまいます。そこで従来は、左の写真の岩場横を手がかりがないほぼ垂直5mほどを下るので、トラロープを設置しました。いったん狭い足場におり、カニの横バイ状態に斜面のロープを伝いトラバースします。これで鞍部に到達できるのですが、滑りやすい危険はありました。
 もう一つの方法は、前述した廃林道近くまで下り、そこから5峰を巻いて鞍部に行くルートです。崖下の少し不安定なところがありますが、むしろこれが1番安全なルートだと思われます。

 ところが、6峰(475m)との鞍部から見ると分かるのですが、細い岩場を5峰に難なく登れるように思われるルートが取れるようなのです。上から見るととてもじゃないが降りられそうになくても、下から登るのは案外と容易に見えるもので、実際にもそうかもしれません。

ロープ設置

 そこで今回、5峰から鞍部への直進ルートにロープを設置し直してみました。試しに高所恐怖症の私がこれを使ってみました。岩場は足がかりや手がかりがある(ちょうど良いところにヒノキの若木もある)ので、少しの安心感はあります。だだ、岩は脆いので注意を要します。

 山には危険はつきものです(山だけではないでしょうが)。だからといって、危険を考えて山歩きをしないとしたら、大事な忘れ物をしてしかも本人が気づいていないのと同じでしょうね。
 私は好んでスリルを味わいたいとは思いませんが、山のフィトンチッドは何ものにも変え難い味わいがあります。特に初夏の里山はよいものですね。これがあるから「お山歩」が好きなのかもしれません。

 今回は6峰までは行かず、ここで引き返しました。気温はは高いようですが、吹いてくる風が心地よく感じられます。スタート地点の金原峠到着は14:00でした。


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